粗忽長屋で蒟蒻問答

無駄な方便、無用の用、脳味噌を棚卸する、そんな雑草咄しと落語と書見

【読書】"事実は小説より奇なり"のアメリカ的集成──『ナショナル・ストーリー・プロジェクト Ⅰ・Ⅱ』(ポール・オースター編)

当ブログの【読書】カテゴリーをリニューアル・リライトしました。 リニューアルに際してあらたに推しの1冊として、ポール・オースター編、柴田元幸他訳『ナショナル・ストーリー・プロジェクトⅠ・Ⅱ』(新潮文庫、2009年)をご紹介。 こちらの本、当ブログ…

【お知らせ】「読書」カテゴリーをリニューアルしました

あらたに記事カテゴリー「【読書】書見寸評」をリニューアル・リライトしました。 読書案内記事群となります。 書評というほど堅苦しくはなく、日々の閑つぶしになる本たちを独断と偏見であげつらった、イチ読本おすすめ記事たちです。 興味のおもむくままに…

震えながら安堵する場所

呑み屋でこんな話を聞いた。 数年前からソロ・キャンプを趣味とするお客がいて話をしたのだが、最初のうちはいろいろなキャンプ場へと足繁く通っていたが、最近はほぼ一択、いちばん気に入っている、とあるキャンプ場にしか行かなくなったという。 この趣味…

表か裏か

近所に美味いナポリタンを食わせる喫茶店がある。 たまにふと思い出しては無性に食いたくなる味で、先日、ぽかりと空いた時間ができたので、舌先に誘われるまま、ふらりと立ち寄ってみた。 最近は若者のあいだで昭和レトロ風というものが流行っているそうだ…

【落語】蒟蒻問答/餅屋問答

落語のなかでも、よく知られた演題であるこのお噺し。江戸寄席で「こんにゃく問答」、上方落語では「もち屋問答」と呼ばれ、噺家のなかでも客ウケが良いとされる、華やかな名作といわれています。 登場する人物たちもみな個性的で、噺のスジもよく練られてお…

【落語】粗忽長屋

この噺、大袈裟なもの云いになるかもしれませんが、落語的発想の粋を集約したような超現実的なおはなしとなります。 しかも「ボケ」の究極形といえるかもしれない一言が飛び出す、瞠目すべき展開と落ち(サゲ)。 落語の世界の扉を開ける最初の一話としても…

ハンドル捌き

休日の昼下がり。 とくにやることもなし、居間でトドのようにゴロゴロしていたところ、なにやらカミさんの癇に障ったのか、叩き起こされて、どこかに出かけてこいと言われる。 と言われても、行きたいところもなし、どうしようかなと逡巡しつつも、そういえ…

歯の浮く連帯

男同士の奇妙な連帯感というものは、ときに唐突にやってくるものである。 その日も偶然だった。 若かりし時分、およそ20年前の話になるが、以前に働いていた勤務先での出来事である。 その日、少々、気の重くなる、憂鬱な仕事をまわされたのだが、それは自…

煽がれる

昨日、困ったことに"気づいた"ので、ここに筆をとることにする。ウチは、カミさんとの共通の趣味というのが銭湯に行くことで、月に2、3回、近隣の施設におもむいている。ときには遠出して、温泉につかりに行くこともあるが、ふだんはまあ、市内と隣市、…

一輪咲き

少々、残念なことがあったので、ここにしるしておきたい。 今年の夏も終わりにさしかかっている。 この夏の終わりの、なんともいえない物哀しい風情というものが、いったいどこからくるのだろうと、ふと疑問に思うものである。 年初から徐々に気温が昇ってい…

片寄

とりとめもない話をしたい。 ほんとうにとりとめもないことなので、ここに書くのもどうかと躊躇ったが、最近、なにかというとチラチラとあたまをよぎることなので、書いて排泄したくなった。 夏の暑い日が続いている。 温暖化の影響とか異常気象とか言われて…

尾を曳く

だいぶ以前に自分のなかで確定事項になったことが尾をひいて、状況が変わった今になっても、わかっちゃいるが、その姿勢や態度というものをなかなかにくずせない、ということが、誰しも、ひとつやふたつ、あるかと思われる。 先日、呑み屋でそんな話をしてい…

印度

落語のなかに「雛鍔」という噺がある。 このなかに登場する植木屋の倅というのが「いかんともしがたい」こまっしゃくれた腕白で、これが笑いを誘うという根太になるのだが、最近この噺を聴いていて、ふと思い出したことがあった。 若い頃、バックパックを背…

鎮具破具

学生の頃に哲学の読書会というものがあって、そこへ参加したときに、シモーヌ・ヴェイユという人の、こんな箴言に出会ったことがある。 「求める目的とは反対の結果を生む努力がある。一方、たとえうまくいかないことがあっても、いつも有益な努力もある」 …

愛嬌

いつだったか、呑み屋で後輩から聞いた話である。 その後輩が高校生の頃、いまからもう30年近く前のことになろうか、当時、アメリカのほうで、どうやらヒップホップという音楽が活況を呈しているらしい、ラッパーやDJと呼ばれる人たちがいるようで、その…

【落語】あたま山/桜ん坊

落語の数ある噺のなかでも、もっともばかばかしく、きわめつけに奇々怪界で、シュールさの極北とでもいえる噺がこの演目となるのではないでしょうか。 江戸寄席で「あたま山」、上方落語では「桜ん坊」と呼ばれる演題で、このタイトルもじつに意味深です。 …

五分の魂

毎年想う。 ついにこの季節がやってきたと。 蚊、である。 ウチは5階建てマンションの5階なのに、なぜか蚊がいる。 蚊がやってくる。 蚊が飛来する。 蚊が漂っている。 それくらい、蚊とのたたかいに追われる。 いろいろな対策をとるも、それでも、夜、寝…

落とし穴・下

(つづき) 二歩目。 秘密基地が林立し、秘密裡に潰しあうというフェーズが進化して、一時的に、単純な破壊活動だけが先行するようになる。 つまりは、自分たちの秘密基地をつくる、ということはしなくなり、ただ潰すことだけを目的に徘徊する輩が出始めたの…

落とし穴・上

むかし、秘密基地遊びというのが流行った。 現在、アラフォー、アラフィフあたりの年代の方々に該当する思い出ぶかい遊び、ということになるのだろうか。 それ以前の年配の方々、あるいは現在の子どもたちも、こういった遊びをやっていた、あるいはしている…

恍ける

先日、歯科の待合室で、眼鏡をかけながら、メガネ、メガネと、自分の眼鏡を探している年配の人を見かけた。 まあ、よくある話である。 今日は、こういう話を思いつくままに挙げてみようと思う。 ちなみに、たった今も、似たような事例が発生した。 どういう…

しどろもどろ

落語のなかに「崇徳院」という噺がある。 いわゆる恋煩いをあつかった噺なのだが、落語のなかで色恋沙汰や艶話をあつかったものは、どちらかというと遊女、女郎相手が多いなかで、この噺では、さる大家の若旦那が清水の茶屋で偶然出会ったお嬢さんにひと目惚…

寝ざま

睡眠の加減というものがむずかしい。 仕事が夜遅くに終わることも多く、帰宅して、深夜に寝床につくということもしばしばである。 翌日が、ではなく当日になってしまうが、休みの日となっている場合など、夕方まで寝てしまうときがある。 ところが、そういう…

茶受け

コンビニで昼飯に、おにぎり2個とブラックコーヒーを購入したら、一緒にランチをしようとした人に驚かれたことがある。 その人が言うには、おにぎりに合わせて買うのなら緑茶などの和風のお茶、ブラックコーヒーに合わせて買うのならサンドイッチなどのパン…

超進化論的形相

先日、カニを馳走になる機会があった。 店で少々、席が空くまで待たされているあいだに、店に備え付けられていた生け簀を眺めていた。 いろいろな魚がひらひらと身をひるがえすなかに、お目当てのカニもいた。 そのカニをまじまじと見る。 そして、思う。 こ…

大目玉

平日の休み、昼下がりの午後、家で無聊をかこっていたら、遠くのほうから、子どもたちがキャッキャとさわぐ音が聞こえきた。 下校途中なのだろう。 遠くのほうから聞こえてくる子どもたちの笑い声というのも、わるくない風情である。 そんなことをぼんやり思…

牛の尻に跳び蹴り

友人が地方に移住して、田舎暮らしをしたいと言っている。 こちらも以前に田舎暮らしというか、晴耕雨読の生活にある種の憧憬のようなものを抱いたクチなので、そういえばだいぶ前に、この友人にそんな話をしたこともあったっけな、ということで、話につきあ…

慰撫

チプカシが好きである。 ご存じない方のためにちょっと解説すると、「チープ・カシオ」の略で、つまりはカシオ製の安い腕時計のことである。 わりと前の話になるが、とある人が(イギリスの方だったと思う)、SNSでこのチプカシのことを投稿して話題にな…

献立

カミさんから、誕生日プレゼントに宝くじをもらった。 ……宝くじ、か。 ところで、宝くじに当選して幸福になる人には共通点があると聞いたことがある。 いずれの人も、当選前に、3億円なら3億円分、1億円なら1億円分の当選金の使いみちを事細かに、詳細に…

熱唱

さきほど、帰宅中に、ひとけのない夜道をひとり歩いていたときの出来事である。 向かいから、自転車に乗った高校生が、イヤホンをして、熱唱しながら近づいてきた。 こちらに気づいていないのだろう、歌声に力がこもっている。 が、すれちがいざま、ようやく…

最速の行末

年齢とともに、時間が体感として早く感じられるようになるといわれる。 同じ1時間でも若い人ほど進みが遅いと感じられ、歳をとるほどに時間の進みが「あっという間」に感じられるというやつである。 たしかにそうなのかもしれないと最近、とみに感じる。 仕…