「春眠暁を覚えず」ということばがあるが、以前のどこかで勘違いをしたのだろう、このことばが「二度寝の悦楽」を謳ったものだと勝手に思い込んでいた。 まあ、語義から大きく逸脱している間違いではないが、思い込みとは素っ頓狂なものである。 それにして…
夫婦の間柄というのは、他の種類の人間関係とはちょっと違った性質の、たとえば若かりし恋愛関係にはない、ちょっとした"特別さ"があって、これに心あたりのある方ならば、この本、眉村卓『妻に捧げた1778話』(新潮新書、2004年)は、どこか響くところの…
この噺に登場するご隠居は落語の世界での有名人で、なにが有名かというと、その「知ったかぶり」。 落語の世界で「ちはやふる」ということばは「知ったかぶり」と同義であるといえるほど、よく知られた名作です。 『ちはやふる』という題名はもちろん百人一…
今回、当ブログの読書案内としてはこれまでタッチすることのなかったビジネス啓発書のジャンルのなかから、推しのこの一冊として、トーマス・M・スターナー著、茂木健一郎訳『今ここに集中すれば、人生はうまくいく!』(PHP研究所、2013年)という本をご紹…
今回紹介する噺は王道ヒーローもの。 この落語に登場するヒーローは、匠の技を究めた先に摩訶不思議な異能を持つに至った職人です。 日本人が昔から"職人"をリスペクトする風土をもつのは、こういった噺あたりにも片鱗があるのかもしれません。 ◾️ あらす…
1リットルの牛乳を買って帰ったと思いきや、家で飲む際にパッケージの内容量表示をなにげなく見たら900ミリリットルになっているのを発見して驚いた──という頃がなつかしく思い出せるほどに物価高騰と低価格維持のための商品スリム減量化が定着した現在…
昨今の物価高騰や円安等についてはやはり、経済に不勉強な素人でも、そもそもこの日本経済の現況はいかなるものなのかという疑問は尽きず、この先ほんとうに大丈夫なのかと不安もつのるものだと思います。 最近では若い世代のあいだですらも「老後の不安」を…
前回の語呂つながりで、今回はさらっと、『ぞろぞろ』というお噺をご紹介。 ぞろぞろというと、百足ムカデあたりが地面を這い回っている様子などを思い浮かべたりしますが、このネタの"ぞろぞろ"とはいったいなんのことなのか。 気になった方はこぞって、…
今回は個人的な趣向を前面に押し出して、個人的に傑出誉高いとおもっている当演目をご紹介。 初見の方には「だくだく」ってなによ? と皆目見当もつかないかと思われますが、まあ、そこはそれ、あらすじからご賞味ください。 これほど馬鹿馬鹿しくも「遊びご…
本日は、当ブログ的には若干ケの色をかえて、清水克行『室町は今日もハードボイルド──日本中世のアナーキーな世界』(新潮文庫、2024年)という本をご紹介。 「室町時代」というと、歴史好き(歴オタ除く)の方々からしてみても、おそらく"マイナー"な時代…
地上波のテレビ番組を視聴しなくなって久しい。 ということで、茶の間ではもっぱら YouTube を観ているのだが、YouTube だけを観ていると、世の中の流行り廃りがわからなくなるときがある。 これがわたくし個人だけの"錯誤"にあたるのかはわからないが、挙…
いつの時代もどうやら身の毛のよだつ恐い話聞きたさというのは人の心理に息付いているようで、怪談というのは時を跨いで一定の需要があるようです(最近では都市伝説というくくりに含まれるのでしょうか)。 今回紹介する「一眼国」はそんな怪談絡みのネタな…
今回紹介する本はタイトルそのまま、奥野克巳『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(新潮文庫、2018年)なのですが、まずもってこの本の問いの立て方がじつに興味深い。 まずはそこから読んでほしいのですが、先史か…
どうやら最近、どういうわけだか「地獄」がブームだとか。 地獄をテーマにした企画展や各地の寺社仏閣・資料館などの「地獄詣で」などが活況だそうで、死後の世界への関心の高まりといおうか、死後の手続きを先取りせんばかりのお参りに熱心な流行だそうであ…
良書というのは読後に読者の内面に確実になにかを残す。そしてそういった本とはまず出会えないといっていい。 その邂逅は稀なもので、だがしかし今回は、そのような千金に値する良書、稲垣栄洋『生き物の死にざま』(草思社、2021年)ならびに稲垣栄洋『生き…