粗忽長屋で蒟蒻問答

無駄な方便、無用の用、脳味噌を棚卸する、そんな雑草咄しと落語と書見

茶受け

コンビニで昼飯に、おにぎり2個とブラックコーヒーを購入したら、一緒にランチをしようとした人に驚かれたことがある。

その人が言うには、おにぎりに合わせて買うのなら緑茶などの和風のお茶、ブラックコーヒーに合わせて買うのならサンドイッチなどのパン類でしょう、おにぎりを食べながらブラックコーヒーを合わせるのはない、と言っていた。

 

そういうものなのだろうか。

自分のなかでは、ブラックコーヒーはお茶とかわらないもの、いやお茶と同等のもの、いやお茶類、だと思っていた。

これらはすべて、甘くないものだからである。

一方で、これらが甘くなったら、自分のなかでも、まったく別物扱いとなる。

さらにはミルクやクリームなどが入ったら、なおさら別物扱いとなる。

それらはスィーツとなる。

要するに、珈琲でも緑茶でも紅茶でも、ストレートかそうでないかで、まったく別物の認識をしているという塩梅だ。

 

ということで、その日、ランチをご一緒したその人が、食後に、カフェオレとエクレアを一緒に食べているのを見て、ありえないと指摘した。

「?」という顔をしていたが、自分から見ればその合わせは、スィーツ+スィーツだからである。

甘いものの当てに、甘いもので受けるというのがおかしいというと、きょとんとしていた。

いやいや、スィーツのことを「お茶請け」というではないか。

スィーツはお茶を引き立てるための甘さであって、肝心のお茶が甘ければ、甘い+甘いで、合わせる意味がない。

甘いお茶類は、それ自体がスィーツである。

で、あるのだから、この場合、エクレアはいらないのではないかと説明した。

なるほど、という顔をしていたが、ニコリと笑って、「ならば、このふたつは、両方とも先ほどの弁当の当てとしてのデザートなのです」と切り返された。

 

うまいことをいう。

まぁ、他愛のないことだし、人それぞれ好き好きの話だ。

どんな食事をするのにもコーラ片手に流し込む、なんて人もいると聞いたことがある。

さすがにそれはどうかと思わないでもないが、いまわのきわに、思う存分そのコーラを飲みたいと所望した老人もいたとの話も聞く。

これらに比べれば、おにぎりとブラックコーヒーはまだましなほうではないかと思わなくもない。

ともすれ、人の味覚というものは、じつはいちばんそういった奇妙さを発揮する領域なのかもしれない。