粗忽長屋で蒟蒻問答

無駄な方便、無用の用、脳味噌を棚卸する、そんな雑草咄しと落語と書見

印度

落語のなかに「雛鍔」という噺がある。 このなかに登場する植木屋の倅というのが「いかんともしがたい」こまっしゃくれた腕白で、これが笑いを誘うという根太になるのだが、最近この噺を聴いていて、ふと思い出したことがあった。 若い頃、バックパックを背…

鎮具破具

学生の頃に哲学の読書会というものがあって、そこへ参加したときに、シモーヌ・ヴェイユという人の、こんな箴言に出会ったことがある。 「求める目的とは反対の結果を生む努力がある。一方、たとえうまくいかないことがあっても、いつも有益な努力もある」 …

愛嬌

いつだったか、呑み屋で後輩から聞いた話である。 その後輩が高校生の頃、いまからもう30年近く前のことになろうか、当時、アメリカのほうで、どうやらヒップホップという音楽が活況を呈しているらしい、ラッパーやDJと呼ばれる人たちがいるようで、その…

【落語】あたま山/桜ん坊

落語の数ある噺のなかでも、もっともばかばかしく、きわめつけに奇々怪界で、シュールさの極北とでもいえる噺がこの演目となるのではないでしょうか。 江戸寄席で「あたま山」、上方落語では「桜ん坊」と呼ばれる演題で、このタイトルもじつに意味深です。 …

五分の魂

毎年想う。 ついにこの季節がやってきたと。 蚊、である。 ウチは5階建てマンションの5階なのに、なぜか蚊がいる。 蚊がやってくる。 蚊が飛来する。 蚊が漂っている。 それくらい、蚊とのたたかいに追われる。 いろいろな対策をとるも、それでも、夜、寝…

落とし穴・下

(つづき) 二歩目。 秘密基地が林立し、秘密裡に潰しあうというフェーズが進化して、一時的に、単純な破壊活動だけが先行するようになる。 つまりは、自分たちの秘密基地をつくる、ということはしなくなり、ただ潰すことだけを目的に徘徊する輩が出始めたの…

落とし穴・上

むかし、秘密基地遊びというのが流行った。 現在、アラフォー、アラフィフあたりの年代の方々に該当する思い出ぶかい遊び、ということになるのだろうか。 それ以前の年配の方々、あるいは現在の子どもたちも、こういった遊びをやっていた、あるいはしている…

恍ける

先日、歯科の待合室で、眼鏡をかけながら、メガネ、メガネと、自分の眼鏡を探している年配の人を見かけた。 まあ、よくある話である。 今日は、こういう話を思いつくままに挙げてみようと思う。 ちなみに、たった今も、似たような事例が発生した。 どういう…

しどろもどろ

落語のなかに「崇徳院」という噺がある。 いわゆる恋煩いをあつかった噺なのだが、落語のなかで色恋沙汰や艶話をあつかったものは、どちらかというと遊女、女郎相手が多いなかで、この噺では、さる大家の若旦那が清水の茶屋で偶然出会ったお嬢さんにひと目惚…