粗忽長屋で蒟蒻問答

無駄な方便、無用の用、脳味噌を棚卸する、そんな雑草咄しと落語と書見

蛇足

強い雨がふっている日に思うことがある。

クルマを運転する機会がわりと多いものだから、駐車してクルマに出入りしようとするたびに、気になることがあるのだ。

ドアの内側が濡れることである。

これが、気になってしょうがない。

 

車種にもよるのかもしれないが、それでもたいていの車種では、ドアの内側にパワーウインドやサイドミラーの開閉ボタンなど操作部が据え付けられていると思う。

これがドアを開けるたびに濡れるのが気にくわないのだ。

メカを濡らすのに抵抗がない人はいないと思う(独断と偏見)。

たとえ防水仕様のものであっても、なるべく濡らしたくない心理がはたらくものだと思う。

パソコンのキーボードにコーヒーをこぼしたり、スマホをあやまって水にひたすなど、避けたいと思うのは当然ではないか。

が、この世にクルマというものが発明されて、幾重の時を重ねてきているにもかかわらず、何年たっても、クルマのドアの内側は、雨のときに濡れつづけている。

乗り込むときは、もちろんウェスで拭き取っている。

しかし、クルマから降りるときは拭くことができないではないか。

この事実にも、拍車をかけるかのごとく、イライラさせられている。

たとえば、クルマの天井部からアーケード的な屋根がボタンひとつでパッと開く、みたいな装置をだれか発明してくれないだろうか。

クルマにとっては明らかに蛇足であり、周囲は迷惑極まりないかもしれないが、ここにひとり、間違いなく購入を検討する人間がいると叫びたい。

以前に友人から、透明ラバー製のカバーなるものをカーショップで見かけたという話を聞いたことがある。

が、それでもそこが濡れることにはかわりない。

個人的にカバーでは意味がないと思っている。

カバーをしても本体部が水にさらされることが前提になっているではないか。

欲しいのは、水けのない空間なのである。

 

これを解決できる発明家がいるのであれば、衷心より賞賛を贈りたい。

テクノロジーも、たまにはこういう方向に寄り道してもいいのではないかと思う。