冬といえば雪見酒宴。 こうして四季を追いかけると、日本人というのは風流にカコつけて年中酒を呑んでいるんだなぁ、と思わなくもないが、まあ、それはこじつけだろう。 ところで、学生の頃、アルバイトで葬儀屋の手伝いをしていたことがあったのだが、そこ…
いつだったか、行きつけのバーのマスターから、ワイワイ楽しく喋りたい客と、独りで静かに呑みたい客の座席の誘導がむずかしいという苦労話を聞いたことがあります。 なるほどバーだから多様な客も来ようというもので、さすがプロの配慮はそこまで行き届いて…
物価高騰の昨今、生活の質を見なおす気運が高まるなかで、当ブログがそういった意識改革を促す? 意図でご紹介したいのが、中崎タツヤ『持たない男』(新潮文庫、2015年)という本です。 いわゆる「断捨離」啓発本に分類されるであろうエッセイなのですが、…
つい先日、呑み屋であった出来事。 店に入ってきた客が「マスター、つまみはいいから」といったのを、違う客のリクエストでたまたまテレビの音量ボリュームをいじっていたマスターが「え、そのままでいいの?」と切り返して笑いを誘うという場面が。 入って…
本日は、世に転がる金言・名言集とはおもむきの異なる、「絶望名言」なる"ネガティヴ・ワード"を蒐めた、フランツ・カフカ著、頭木弘樹編訳『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫、2014年)をご紹介します。 ポジティヴ・ワードを唱えていれば人生良くなる…
秋といえば月見酒宴。 と、云いたいところだが、こちらの風流にはほとんど馴染みがない、というか、これまでとんと縁がなかった。 いま現在、お月見の風習を続けておられる方はいるのだろうか。 秋口の満月の日というのは毎年変わるわけだから、風物行事とし…
せわしない現代とは対照的に、江戸の世は天下泰平。 だからこそ暢気さもここに極まれり、といった噺を本日はご紹介。 この噺、落語のまくらの常套句である「毎度ばかばかしい」を地でいく内容なのですが、なんというか、そこがなんともいえず羨ましい、ただ…
今回も極私的推しの本、古東哲明 『瞬間を生きる哲学 〈今ここ〉に佇む技法』(筑摩選書、2011年)を紹介させていただきたいのですが、この本をおすすめしたいのは、表題にあるとおり、「現代はなぜ、先のことばかり考えさせられるよう仕向けられているのか…
本日は落語好きならば口を揃えておすすめするであろうネタ、『酢豆腐』をご紹介。 真夏の江戸庶民の"通と粋の情緒?"というか、まいど馬鹿馬鹿しい"遊び心"を存分に感じられる、そんな楽しい演目です。 「酢豆腐?、なにそれ?」と、ちょっとでも疑問に…
今回は私的付き合いの長い、個人的推しの本、三木清『人生論ノート』(新潮文庫、1978年)の紹介になりますが、レヴューというよりは、恥ずかしながら、思い出話のようになってしまいました。 それでも、まあ、「人生」を考える本なので、個人的な思い入れな…
夏といえば花火酒宴。 黒天に咲く絢爛たる百花繚乱に酔うことは、人生の煌めく栄枯盛衰を追憶するのに近い。 夏の夜空に、そんな回り灯籠の影絵のような交互を見てしまうのは自分だけだろうか。 それだけではない。 喧噪の空隙に垣間みる静寂──。 夏というの…
当ブログで掲載している落語紹介記事はたんに筆者が呑み屋で酒の肴的に話題にするのを落語を知らない相席客のための補助として書きしたためているにすぎないものなのですが、ところで呑み屋での話題といえば、いつの時代でもたとえば職場への愚痴が多いもの…
蔵書を漁っていて脈絡もなく、菊池寛『藤十郎の恋・恩讐の彼方に』(新潮文庫、1970年)をご紹介。 本書はいわゆる"大衆小説"のなんたるかを体現したような位置づけの作品といえるのかもしれませんが、あるいは批評の界隈で文学性どうこう芸術性うんぬん、…
前々回の茶碗、前回の茶碗ときて、骨董噺つながりで、今回は『猫の皿』という小品をご紹介。物価高の昨今、モノの価値とはなんぞやと思い返してみる意味でも、おもしろい作品です。 ◾️ あらすじ 果師(はてし、はたし)という生業(なりわい)をご存じだろう…
先回に引き続き、今回も内田百閒の随筆、『御馳走帖』(中公文庫、1979年)をご紹介。 食をテーマにはしていますが、そこは百閒先生なので、ありがちな美味いもの自選集のごとき内容とは一味違った趣きで書かれている、こちらも名随筆といえるでしょう。 推…